「俺は相川刹那(あいかわせつな)
ここで出会ったのも何かの縁と思うから、よろしく」



だけどいい笑顔で手を差し出してきたものだから、社交辞令とは思えなくてちょっぴり嬉しい。

握手すると、相川さんはまた笑顔を弾けさせた。



「よろしくお願いします、相川さん」

「そんな堅苦しい呼び方じゃなくていいよ。相川くんでも、刹那でも」

「……セツナって珍しい名前ですね」

「でしょ、珍しいから覚えやすいよね。刹那って呼ぶ?」

「いえ、なんだか恐れ多いので相川くんにします」

「なんでだよ、まあどっちでもいいけど。
じゃあ俺はきいちゃんって呼んでいい?」



うーん、その呼び名は私にしては可愛すぎるというか、少し抵抗がある。

でも、どうせ今日限りの関係なのでいいでしょう。



「キコちゃんって呼びにくいからきいちゃんでもいい?」

「どうぞご自由に」

「分かった、よろしくきいちゃん」



それにしても、さっき会ったとは思えないくらい距離を縮めるのが上手い人。

女子に追われていたみたいだし、もしかして相川くん芸能人だったりして。