「きいちゃんもダルい、俺のこと未読無視した」
「あれ、すみません。熱中してて」
「まあいいけど、ここにいるのは分かってたし」
未読無視は必死に絵を描いていたから許して欲しい。
すると相川くんはおもむろに後ろから抱きついてきた。
さすがにビックリして作業していた手が止まる。
女慣れしてると言うか、相変わらず距離の詰め方が日本人らしくない。
「きいちゃん、会いたかった〜。俺を癒して」
「……重いですよ相川くん」
「へえ、きいちゃんこの距離でも意識しねえの?」
背後から私の顔を覗き込んできた相川くん。
至近距離すぎてドキドキするどころか息が止まりそう。
だけど相川くんの笑顔に違和感を覚えてときめきが消えた。
……なんか、イライラしてません?
「なんというか……ムシャクシャしてます?」
「あは、バレた。きいちゃんって意外と勘がいいよね」
バレたと認めたけれど投げやりに笑うから壁を作られた気がする。
……これは、単に女性関係で悩んでるわけじゃなさそう。
では、何に?それは付き合いが浅いから分からないけれど。



