「いいに決まってるよ〜!お姉ちゃんが幸せに生きる道を選ばないと」



その度に璃子はいつもの笑顔で励ましてくれる。



「あのね、何回も言うけどリコは大丈夫だよ。
漠然とした夢より、大学行って、そこで本当にやりたいこと見つけた方がよっぽど有意義だし」



そして私に罪悪感を抱かせないように気を使ってくれる。

私は感極まっていつもここで璃子を抱きしめる。



「お姉ちゃん絵の具の匂いがする〜」

「ごめん、臭いね」

「ううん、リコこの匂い好きだよ」



ああもう、可愛い。

世間一般には自分のことを名前呼びってどうなの?って言われるらしいけど璃子なら許せる。

こう思うのはたぶん私がシスコンだから。



「璃子が私の妹でよかった」

「なーにお姉ちゃん、疲れてる?」

「んーん、思ったこと言っただけ」



璃子が家族でよかった、私は本当に幸せ者。

そう思いながらふたりきりで食べた璃子お手製ビーフシチューは、文句なしにおいしかった。