「きいちゃんの全部、俺にちょうだい」



妖艶で挑発的な表情と裏腹に、声は甘くて優しい。

その矛盾すら愛しくて、気がつけば笑みをこぼしていた。



「強欲な人ですね」

「今さら?」

「私はとっくの昔に、全部刹那にあげたつもりだったのに。
これ以上何を差し出したらいいんですか?」



魅惑に溺れてしまいたい理性を奮い立たせて、光を放つその瞳を正面から見つめる。

すると、刹那の口元がゆっくりと弧を描いた。



「きいちゃんのそういうとこ、大好き」



相変わらず私の意外性に弱い刹那。

たまらず満面の笑みを浮かべて幸せそう。

そんな顔をされたら、好きの気持ちがあふれてつらい。

あふれた愛しさを拾い上げるように、お互い触れ合ってキスをして、想いを確かめあった。










END