相川くんはギャップに弱い

リビングを出た刹那は寝室に向かって、それから綺麗に包装されたブーケを持って私の前に立った。



「こんなんじゃお返しにならねえけど、頑張ってるきいちゃんにプレゼント」

「これ……どうしたんですか?」

「永遠が花好きなんだけどさ。昨日買い物に付き合った店で買ってきた。
サプライズしようと思ったのに、俺らやること一緒じゃん、ウケる」



色とりどりの小さな花のブーケ。

これは確か、かすみ草でしょうか。

かすみ草だけのブーケって珍しいかも。

こんな可愛い花をチョイスする刹那も可愛い。



「俺さ、きいちゃんのお母さんに花束贈ったじゃん」

「そうでしたね、すごく喜んでましたよ」

「あの時はフリージアがメインだったけど、俺の好きな花はかすみ草なんだ」



ブーケを受け取った私をあたたかい眼差しで見つめる刹那。

指先でかすみ草に触れて、そして優しく微笑んだ。