日差しの中を悠々と歩く狼の絵。



「……これ、俺?」



抽象的だからわかりにくいかなと思ったたけどさすが刹那。

ちゃんと分かってくれました。



「自由になった記念です。飾ってください」

「いつ描いてたの?ずっと俺と一緒にいたじゃん」

「家でコツコツ描いてました」

「……嬉しい」



刹那のことだからてっきりふざけると思ったのに、一言だけ呟いて笑うだけだった。

純粋で無邪気な笑顔があまりにも綺麗で、言葉を失う。

……何その顔、ずるい。



「大事にしまっておく」

「えー?飾ってほしいのに。望めばいくらでも描きますよ」

「安売りしちゃだめ、これは俺の宝物にするから」


もったいないから飾って欲しいけど、すごく嬉しそうだからいいか。

刹那は丁寧にその絵をしまうと、私に笑いかける。



「俺もきいちゃんに渡すものがあるから待って」