「そんなに私の顔見ないで」

「なんで?」



バッチリ見られて恥ずかしい。

睨んだものの照れ隠しだとバレてしまった。

刹那の余裕のある表情がその証拠。



「そういえば……電話来なくなりました?」

「そうそう、それ言おうと思ってた」



苦しまぎれに話題変換したら、刹那はそれに乗ってくれた。



「俺、もう全く荒瀬組とは関係無くなったから」

「そうなんですね、よかった」

「跡取り問題、綺麗に解決したって」



壱華さん、金獅子派を叩きのめすとか言ってましたけど見事な有言実行ですね……すごいです。



「じいちゃん、ばあちゃんのこと大好きなんだけどさ。
俺をまだ跡取りにしたがってるって聞いて、ばあちゃんにしこたま怒られたって」

「へえ……」

「『引退した身のくせに孫の人生を振り回すな!』って離婚までされそうになったらしくて。さすがに懲りたらしい」



離婚されそうになってようやくお祖父さんの暴走を止められたんですね。

何はともあれ、刹那の悩みが減って良かった。