「きいちゃんって集中力すごいよね、だから何時間も絵が描けるんだろうけど」

「次のテストでいい点取れたら、指定校推薦の枠もらえるって言われて」

「それで頑張ってんの、けど程々にね」



がむしゃらにひたすら頑張ることしか知らないから、程々が分からない。

でも確かに、始めに飛ばして後で失速するより休憩しながらの方がいいかも。

ここは受験勉強を乗り越えた先輩の意見に従いましょう。



「ジメジメしてるとアイス食べたくならない?」

「いいですね、甘いもの食べたいと思ってました!」

「あは、急に元気になるじゃん」



刹那は笑いながらキッチンに向かって、冷凍庫から棒アイスを持ってきた。

あ、これ私が好きなアイス……常備してくれてるんですね。

こんなちっぽけなことでも愛されてると感じて頬がゆるむ。



「ニヤニヤしちゃって……可愛いねきいちゃん」