「刹那が私たちに相談して来ないからって調子に乗っちゃって……もう許さないから」



あれ、さっきまでの聖女はどこに?

いや違う。最初からそうだった。

この人は極道の妻……“姐さん”だ!



「ふふ、今に見てなさい。息子に手を出すとただじゃおかないんだから」



不敵に笑うその横顔すら美しいけど、恐ろしさが相まって迫力が増している。

……すごい。この気迫、本物だ。



「とにかく、もう何も心配いらないからね。
わたしたちも2人が明るい場所を歩いていけるように、バックアップするから」

「……ありがとうございました。お会いできてよかったです」

「刹那が笑うと可愛いって言ってたの本当ね」



私が笑うと、眉間に寄せていたしわを解いて驚いた顔をする壱華さん。

照れて笑うと、彼女は優しく微笑み返してくれた。