「言ってなくてごめんなさい」

「そうじゃなくて!一緒に行こうとか言ってよ」



ひとまず謝ると、刹那は私の肩を掴んで寂しそうな顔をした。

……本当に私と離れるの嫌なんですね。

言ってなくて申し訳ないと思う一方、そんな刹那が可愛くて仕方ない。



「ヤクザの息子がひとり海外に出向いて大丈夫ですか?」

「俺はもう縁切ったからヤクザの息子じゃない」

「でも、お金結構かかりますよ。1週間滞在するならいろいろ必要だし」

「金なんてどうにでもなる。きいちゃんと一緒にいる時間の方が大事」

「ダメです」

「えー!即答!?」



いくら私が好きだからって行き当たりばったりで判断するのはどうかと思う。

計画的な人間のはずなのに、私のことになるとどんなに振り回されても着いてくるのが不思議。