「ごめんなさいねせっかく来てくれたのにバタバタしちゃって」

「いいえ、お構いなく」

「えっと、大学生でしたっけ?今2年生?」

「はい、そうです」



ダイニングテーブルに着席した刹那は、ずっとニコニコしながらお母さんの質問に答える。

いくら気に入ってもらいたいからって、愛想良くしてると逆によくないと思う。

顔がいいから直視できないんですよ。

ほら、お母さん戸惑ってる。



「え、えっと……どこの大学でしたっけ?」

「東計です」

「何学部?」

「経済ですね」



東計(とうけい)大学は、私立大学の中では日本トップクラスの大学。

偏差値もさることながら人気のある大学だから、知らない人はいないくらい。

私もそこに行きたいんだけど、やっとB判定に漕ぎつけたくらいだからまだまだ道のりは遠い。