「緊張する……うっ、動悸が……」



その日、私はめちゃくちゃ緊張していた。

今日は永遠さんと快さんの家にお邪魔する日。

個人的に依頼された絵を届けに行くついでに、お茶をしないかと誘われてしまった。

あの美男美女カップルにこんなにも早く会えるなんて思ってなかったから、楽しみすぎて昨日あまり眠れなかった。

どうしましょう……楽しみなのに緊張してドキドキが止まりません。



「きいちゃん、早くおいで」

「待ってください、胸が苦しい……」



マンションの前で立ち尽くす私を見て、同行してくれた刹那は少し呆れた顔。

仕方ないじゃないですか、美形耐性ほとんどないんですから。

心の中で言い訳しながらエレベーターに乗ると、なぜか刹那が顔を近づけてきた。



「気持ち落ち着かせたい?
なら深呼吸するのとキス、どっちがいい?」