「ふっ、ふふ……」

「なーんで笑ってんの」

「俺に惚れたら責任取れないからって突き放したくせに、今はひとりじゃなんにも出来ないんですね」



笑いだした私を見てムッとした刹那。

可愛さゆえに挑発的な言葉で笑いかけると、刹那はなぜか幸せそうに微笑んだ。



「うん、その点に関しては俺もびっくり」



後ろから私に抱きついて耳元で囁く。

そっと耳にかかる息がくすぐったくて心地いい。



「こんなに誰かのこと好きになれるなんて思ってなかった」

「んッ……」



耳を甘噛みされて変な声が出た。

慌てて口を塞いだけど、その手を引き剥がされて無理やりキスされる。

だけど拒めなくて受け入れてしまう。

仕方ない、私だって刹那のこと好きなんですから。



「っ、やぁ……」

「そんな声出すなよ、せっかく大人しく見守ってやるつもりだったのに」



狼を彷彿とさせる鋭い目付き。

それでいて熱のこもったその瞳で捕らえられたら動けない。



「稀子のせいだからな?」



不意にちゃんと名前を呼ぶのもずるい。

逃げられるわけなくて、覚悟を決めた私はすがりつくように抱きついた。