週末、東京に来たら一度は来てみたかった銀座の画材店に向かった。

半年前まで長野県にいた私にとっては夢の世界のような場所だったけど、今なら気軽に行ける場所にある。

こればかりは東京本社の勤務になった父に感謝しなければ。

鼻歌混じりにお店に向かい、じっくり吟味した後何点か画材を購入。

後でこんな絵の具をゲットしたってSNSに投稿しよう。



「わっ、すみません……」



袋の中に入ってる新品の絵の具に目を落としたその時、目の前に人影が現れた。

止まれずにぶつかってしまい、慌てて頭を下げて謝る。

しまった、私としたことが浮かれて正面から衝突しまうなんて。



「やっぱきいちゃんだ」

「え、相川くんじゃないですか」

「こんなとこで会えるとか運命じゃん」



ところが聞き覚えのある声に視線を上に向けると、目の前にはとんでもなく整った顔が。

相川くん?なんでこんなところに。