「おかえり、お姉ちゃん」

「璃子……ただいま。ごめんね迷惑かけて」

「迷惑じゃないよ、本気でぶつかったからようやくお父さん分かってくれたみたい」

「そうなの?」



するといつの間にか後ろにいた璃子がなぜかニヤニヤしながら近づいてきた。

迷惑かけた側としては笑ってくれるのはありがたいけど、それはなんの笑み?



「お父さんね、お姉ちゃんが神絵師だって知らなかったらしくて」

「神絵師……?」



普段、オタクとは無縁の璃子。

だからそんな単語が出るのはちょっと違和感。

思わず聞き返すと、璃子はいつも通り明るく笑った。



「バンバン大きな仕事もらってる売れっ子なんだよ、ってお姉ちゃんが描いたポスター見せたら唸ってたよ」



そう言って、私が依頼を受けたポスターの写真を見せる璃子。

なるほど、小説コンテストのイラストだから大きく書店に貼られていたみたい。

確かに目立ってますね。



「駅にもあったよね。写真撮っててよかった〜。
お父さんこれで納得してくれたもん」



璃子は少し過大評価な気がしますが、お父さんが納得してくれたなら安心です。

上には上がいるので、本当は私なんて凡人に毛が生えたレベルです。

今回はたまたま運が良かっただけ。