現実に向き合い、自宅に帰ったのは夕方の17時。

お母さんと璃子には帰るって連絡したけど、お父さんに連絡する勇気はなかった。

そろりと玄関の扉を開けて中に入る。

よし、誰もいない。

このまま何事も無かったように自分の部屋に──



「……稀子!」



とはいかなかった。

振り返ると、リビングの扉の前にお父さんが立っていた。

暗くても表情が見えない。

どうせ怒られるのは分かってたけど、出会い頭は勘弁して欲しいです。

……あぁ、最悪。