「で、なんで喧嘩したんだよ」



不意に琥珀さんに質問した刹那。

生ビールとおつまみを片手に上機嫌だった琥珀さんは、ぷくっと頬を膨らませてジョッキを机に置いた。

は?なんですかその仕草、可愛い。



「……見られた」

「何を?」

「流星と星奈にキスしてるとこ見られたの!」



……え?

若頭と喧嘩したって言うからどんな物騒なことかと思ったら、案外ピュアな悩みだった。

刹那はなるほど、とあいずちを打った後「ちなみに流星と星奈は、琥珀の弟と妹ね」と教えてくれた。



「なんだ、そんなの日常茶飯事だろ」

「違う、見せつけたの。
絆がしょうもない事で嫉妬して見せつけたの、8歳の子どもたちに!」

「うわぁ……」



可愛い喧嘩だと思ったけど違った。

私も璃子にそんな姿、絶対見られたくない。

ましてや8歳の子どもに見せつけるなんて教育上良くない。

なんというか……どんな男性も子どもっぽいところがあるんですね。