「刹那、急に来てごめんなさい」

「全然いいよ、むしろ歓迎」

「……あの、今日泊まらせて欲しくて」

「そんなことだろうと思った」



行先は刹那の家。

最近はやっと呼び捨てできるようになって、恋人らしくなったな、なんて自惚れてた。

こっちで幸せだから、帳尻を合わせるために悪いことが起きたんだ。



「けどきいちゃん、あんなことがあったんだから出かける時は俺に言って。迎えに行くから」

「……ごめんなさい」

「そんな顔させたいわけじゃねえから。心配なだけ」



刹那は私の目を見て、それから不安をかき消すように優しく抱きしめてくれた。

あんなこと、と言われ男に付きまとわれた時のことを思い出す。

あの男はどうやら璃子と私を間違えていたらしく、家から付きまとっていたらしい。

メイクすると私たち似てるし、あの日は璃子の服を着ていたから。

私だったのが不幸中の幸いだった。