「きいちゃん、来たよ」
注文したコーヒーを受け取った相川くんは私の視線に気がついてギャラリールームに足を運ぶ。
来ないと思っていたから会う覚悟をしてなかった。
この前と雰囲気の違う私服と髪型が輝かしい。
イケメンに耐性がないから困る。
「ごめん、約束したのにギリギリになった。
快……友達がこのタイミングで後輩に会いに行くとか言い出してさ。
断り切れなくって遅くなった」
前髪を上げた髪型に、全身黒コーデ。
しかし重たい印象にならず、むしろ相川くんの顔の良さを際立たせてしまっている。
居合わせた女性客は相川くんに熱視線を向けている。
女性全員の視線を奪うなんて、なんという罪な男……。
私の心境など露知らず、問答無用で近寄ってきた相川くんは私の隣に立つ。
「へえ、オシャレな展示じゃん」
「ありがとうございます、オシャレに見えるのはカフェマジックです」
「……なんかガッチガチじゃね?今日疲れた?」
ええ、疲れました。相川くんの登場によって急激に心拍数が上がったから。



