「うぜえ、ぶん殴りてえ」

「……どうどう」



喧嘩が勃発しそうだから、空気を変えようと刹那くんの頭をぽんぽん撫でて注意を引きつける。

すると刹那くんはやっと私と目を合わせてくれた。

そしていつも通りぎゅっと抱きついてきた。



「きいちゃんが可愛いからいいや。命拾いしたな」

「はっ、どっちが命拾いしたんだか」



恐ろしい視線を向けられても絆さんはまったく動じない。

それが気に食わなかったのか、刹那くんはムッとした顔になった。



「琥珀に言いつけてやるからな!」

「好きにすりゃいい。俺の琥珀がその程度で揺らぐと思うなよ」

「は〜!うぜぇ!お灸据えられろ!」

「琥珀に叱られるならむしろご褒美だ」

「うげぇ、また父さんに似てきてんじゃん最悪」



煽るつもりで言ったのに、絆さんはむしろ嬉しそう。

刹那くんは歯が立たなくてちょっと悔しそうだった。