個展初日、緊張をほぐそうと深呼吸をする。

カフェが併設されているギャラリーを借りて、開店と同時にスタンバイしていた。

誰も来なかったらどうしようと不安に思っていたけれど、私の絵を目当てに来てくれる人が今日だけでも30人はいた。

よし、最初の個展にしてはまずまずの成果。

だけどそこに相川くんの姿はなかった。

おかしい、メッセージだって昨日までは既読ついていたのに音沙汰無し。

やっぱり、ハナから来る気なかったんでしょうか。



「すみません、ホットコーヒーひとつお願いします」



閉店30分前、カフェのカウンターから聞き覚えのある声がした。

もしかして、とわずかな期待に胸を膨らませて顔を覗かせる。

そこにいたのは相川くんだった。

間違いない、こんな存在感のあるイケメンは相川くんしか知りません。

相変わらず今日も目立ってる。