「はい、別れる気はないですよ」

「は?」

「離れたりしないから、本当のことを教えてください」

「……あは、だよね〜。だってきいちゃん俺のこと好きじゃん」



不安を取り除くように手を握って笑いかける。

すると一転して笑顔になったけど、ぎこちない表情だった。



「ちょっと不安だったんですね、かわいい」

「あ?なんで分かんの」

「刹那くんのことはなんでも分かりますよ」

「はぁ……ずるいよねきいちゃん」



刹那くんは深いため息をついて私をたぐり寄せる。

安心のせいか脱力して、押し倒されるような形で抱きついてきた。



「刹那くんはポーカーフェースでキス魔なただの大学生です」



しおらしい態度が可愛くて頭を撫でてみる。

するといきなりガバッと顔を上げて、至近距離で綺麗な笑みを浮かべた。



「何、キスしたい?」

「違いま……んんー!」



違うと言ったのに、刹那くんは顔を近づけてきてキスをしてきた。

あんなに憂いた表情で顔色を伺ってたのに、今は遠慮なく舌を入れてきて思う存分キスを堪能している。

今年初めてのキスなのに、甘く濃厚で刺激的で……しばらく刹那くんの顔が直視できなかった。