相川くんはギャップに弱い

その言葉を聞いた途端、刹那くんは露骨に瞳を揺らして一瞬固まった。

……この動揺からして、璃子の話は本当だ。



「刹那くんのお父さんの名前で間違いないですか?」

「聞いた?俺がヤクザの息子だって」



ハーブティーを飲まずに机に置く。

目を離した隙に刹那くんの表情はガラッと変わっていた。

怒ってるみたいに眉間にしわを寄せて、その一方で唇が震えている。

指先を絡ませるように手を繋いできたのは、不安ゆえの無意識の行動でしょうか。

その手は離さないで、と言っているようだった。



「はい、璃子から聞きました」

「あー、そっか……で、きいちゃんはどうしたいの。
やっと見つけたのに、別れるとか無理」



刹那くんはショックを受けて目を合わせてくれない。

まさかこんなに早く素性がバレるとは思ってなかったみたい。