「きいちゃん、寒かったろ。あったまってから行こう」
「……ありがとうございます」
「はい、お茶いれといたから」
刹那くんの家に着いて新年の挨拶を済ませる。
寒かったから、いつも以上に刹那くんは優しく接してくれた。
だけどこの優しさも演技でしょうか。
先入観で何もかも疑心暗鬼になってしまう。
「で、きいちゃん、話って何?」
「……」
「え、別れ話?嫌なんだけど」
刹那くんがいれてくれたハーブティー。
ひと口も飲まない私を見て不審がる刹那くん。
勘違いをしたらしく、不安そうな顔でソファーに並んで座った。
「……荒瀬志勇」
その瞬間に、私は刹那くんの目を見ながら呟いた。



