私は現実味がなさすぎて首を傾げた。

すると璃子は痺れを切らしたように、スマホの画面を見せてきた。



「ほら見て、そっくりでしょ」



そこに映っていたのは、刹那くんによく似た険しい顔の男性。

スーツにコートを羽織って、格好からしていかにも極道の人って感じ。



「誰、この人」

「荒瀬志勇(しゆう)、荒瀬組の組長。
ここまで似てたら言い逃れできないでしょ」

「ただ似てるだけじゃなくて?」

「でもあの日だって、荒瀬刹那って言ってた」



あの日、と言われて公園に逃げ込んだ日のことを思い出す。

確かに私たちを襲った男たちは、刹那くんを見て『荒瀬刹那』と口にした。