「うわ、ビンゴ……今日も電話かよ、クリスマスくらいゆっくりさせてくれ〜」

「無視すれば?」

「忘年会来いって連絡だと思うから断っておく」

「おっけー、じゃあ俺がきいちゃん見守っておく」



刹那くんは「きいちゃんに手出ししたら殺す」なんて物騒なことを言いつつエントランスの中に戻って行った。

ところでよく電話が来るけど、いったい誰からなんでしょう。

私も触れちゃいけない気がして聞いてなかったけれど。



「誰からの電話か知ってる?」



目で後ろ姿を追っていたら、燈くんは隣に立って首を傾げる。



「燈くんは知ってるんですか?」

「知ってるよ。でもきいちゃんは純粋だから知らない方がいいかも」

「……どういうことですか?」

「きいちゃんは綺麗な場所で生きてきたろ?俺らと住む世界が違う」



教えてくれると思ったのに突き放された。

住む世界が違うのは薄々気づいていたけど、いざ口に出されると、どう返したらいいか分からない。