ノート







 うとうとしていたら、朝礼に間に合うか怪しい時間になっていた。
 1限にある国語の授業はなんとなく好きになれない。
これは感動する、という本をほとんど知らないし。

ありふれた物語は大体、親がいない子は可哀想で、いじめられたら可哀想で、誕生日を祝ってもらえないからってものすごく怒る みたいな、俺には理解できないことがかかれている。
誕生日を祝うのは別に義務ではないだろうし、生まれたからって何がどうというわけじゃない。
俺は少なくともそう思ってきた。
生まれた日を知らない子だって、実は多い。




 出張の担任の代理で出席をとる先生が国語教師なことに悩んだんだけど、授業に出ることにした。
今の俺には、楽しいこと全部が苦痛だった。
 どの道誰かといるよりも、心を取り戻すのが先だろう。

河辺にも、なっちゃんにも、傷のことは触れられないようにしなければいけない。このハサミも、心の表層錆び付いた部分を削りとって新しくするために必要な道具。
質問に合わないためにも休み時間はまたここに来ることを決めて階段を降りた。

 その後、腕をちらちら確認しないように気を遣って授業を受けた。
河辺に冷たくあたるのも、俺の心の代わりが一切無いからだった気がするけれど、自傷を始めたら少しマシになっていて、いいことしかない。

ま、あの本を見たら発狂するかもしれないが。