「あいつのとこが、苦しいんだろ? 俺なら、もっと大事にする」
かっこいい。
やっぱり好きだな。
だけど壊れてしまった俺を、見せたくない思いの方が強かった。
「だから、俺を見て……」
なっちゃんが囁いてくる。しあわせ、だ。
なのに、今の俺にあるのは、強く痛む心くらいだった。
怖いとか、悲しいとか。一緒にいるのに、彼がとても遠く見えた。
誰を見ても、何処にいても、唐突に始まるフラッシュバックに幻滅されたくなかった。
全ては、あいつのせい。あいつが、心を売ったんだよ。
だから、あいつを心にするまで俺は戻らない。
とりあえず話題を、変えないととどうにか笑顔を作った。
「え、えっと。
うわー宿題やってなかったぁ!
勉強教えてくれない」
大袈裟にリアクションしたら、彼は、なんだか寂しそうに笑った。
「いいけど教科書持ってこないと」
「あ、部屋いっていい?」
勢いで嬉しくなって、聞くと、ダメと言われた。なっちゃんの部屋にはまだ入ったことがない。
でも、厚かましかったか。俺は反省した。
直後になっちゃんが言う。
「ハァ、違う……部屋なんかいれたら、いろいろ、見たらやばいもんとかさ」
UMAでも飼育しているんだろうか。
「わかった」



