「ねぇ、何があった」
なっちゃんが、心配そうに聞いてくる。
「なんにもないから平気だ」
なっちゃんの、形の良いゆるやかにつり目になっている瞳も、淡い色の髪も俺が好きなものだった。
けれど、なっちゃんは、
お嬢様タイプでも、
プライドの高いタイプでもなくて。
きっと、孤高を知らない人。誰かに頼れる人。
それが今はとても俺を苦しくさせる。
それより喉が乾いたなというとなっちゃんが、飲み物を探しにいってくれた。気を遣わせてるのはわかるんだけど、追及をのがれるにはこれしかなかったのだ、俺には。
部屋の端に、本棚があった。なっちゃんはどんなの読むのかなと、本棚を見て俺は背筋が凍りそうになる。
カンベってやつの本が並んでいる。
あれじゃないシリーズは既に発売、されていたのか。だったらあれも時期そうなるかもしれない。 作品情報くらいしか見てなかったのだが慌てて他のことも検索した。
そのあとカンベと書いてない本を手にとった。
夢に鵺が出てきて殺してくれ、と言う話。ファンタジーのはずなのになんだか気分が悪くなる。
今にも死にそうな俺のことを、ネタにして笑っているみたいだった。



