「お。おはよう」
がら、と引き戸が開いていきなりなっちゃんが現れたから俺は目をぱちくりと動かした。
「ここは」
「俺んち」
「迷惑をかけた」
そこは、知らない家のにおいがした。
「もう平気か、突然倒れたけど」
なっちゃんは何か言いたいことがあるように俺を見た。
俺は、ただでさえノートがだめになり、内容を河辺にもそれの読者にも読み上げられていて、何もわからなくなり手一杯で目の前がぐるぐると回っていた。
「なにかあったなら、話してくれ。俺を頼って」
布団を畳もうかと思っていたらなっちゃんが言った。
「あ、ありがと」
そういえば、俺は昔プライドが高いお嬢様タイプが好きだったなと、他人事みたいに思う。
今の俺が、美少女だったなら攻略対象なのに。
あれはずっと一人でいても平気そうな自分に、何か重ねていたのかもしれない。
不毛なことだが、あの、凛としていて他人を必要としなさそうなところが好きだったんだ。



