「昨日夢を見て、眠れなかったんだ」
頭がぼーっとして、何もかもがどうでもよくなっていた。こいつは心なんだ。
気が済むまではサンドバッグにしても構わない。深く考えなくていいじゃないか。
楽な方に流れれば。
衝動的に誰もいない階段の途中で抱きつく。思ったよりも温かかった。
「どうしたんだ」
「河辺……」
なにか言おうとした。
けれど、回された腕があたたかかったのと、昨日の夢のせいで、錯乱した頭は、もう思考をやめていた。
浅い息を感じながら、俺はその場で眠った。
少ししてから目を覚ますと、保健室だった。河辺が横に居て、心配そうに俺を見ているのがおかしい。
俺は、今ならこの首を締め上げられるだろうかなんて思っていたのに。カラカラと、乾いた心は他には、幸福も楽しさも、なにも感じていなかった。
こいびととやらが居てもただ、苦しいだけだ。
「大丈夫?」
額に手を当てられて、ゆっくり目を開ける。そいつを見やる。
死なないかなと思う俺を心配する彼に、どちらが悪人なんだかわからなくなりそうだ。
元はといえばこいつが元凶のひとつのはずだったが。
頭がぼーっとした。
はやくしなないかな、を繰り返した。
それは自分でも相手でもある。
俺の心のくせに、俺の心配をするなんてふざけていて、だから起き上がって殴りかかろうとした。
「まだ熱があるんだな」
と、無理矢理おさえつけられた身体は、ぴくりとも動かせず、ベッドに戻るだけだった。
苦しい。苦しい。
バタバタともがいて、発作的に首を絞めそうになる。勿論、
自分の。



