ノート


机に頬杖をついていた俺は、ゆっくりと、隣のあいた席に座ってたなっちゃんを見つめた。
「なに」
「なんでもねえ」
教室で、わざわざ内容を読み上げる声。

自分で黙って読めばいいだろうに……と呆れることさえできなくて、
なっちゃんにしがみついた。
「どうしたんだよ」

あせる声。そして俺もあせっていた。
聞こえてくる、言葉たち。
なにか画面を見たままの女子の誰かが、言う。

「『馬乗りになり、首を絞めるミドリ。
俺は怖いよと叫んでいた。なんていう』」

なんていう、地獄だ。

「この描写、リアルだよね」
「わかるー」

でしょうねとも言わない俺は、偉いと思った。背筋を冷や汗が伝っていく。この空間にいてはならないのだと本能が察していた。なっちゃんが、驚いたままで固まっている。やがて俺の手を引いて、こっち、とそこから連れ出してくれた。