ノート



「うん。少し、勉強することがあって、集中したいから」

「わかった」


隣になっちゃんがいるのに、俺はぼんやりしていて脳内では、河辺を殴り付けていた。

本当に恋人になんかなれるだろうか。
一抹の不安がよぎったが無くした気持ちの大きさを思えば、たいしたものではない。
 カウンセリングを受けるよりはただ大事な誰かのそばにいたいけれど、その誰かのそばにいても、楽しいとか嬉しいはやってこないということは、想定できる。
思えば自分に自信を持たせてくれたものを無くしているのだ。
自信もなく、心を『楽しみ』にされるという異常事態。

誰もいない昼休みの教室はすいていて、電気のついてない部屋の明かりは窓の日光だけ。
普段は落ち着く静かな空間が、やけに落ち着かない。

「いま流行ってんの!」

クラスの女子の一人が、知らない女子と話しながら教室に入ってきた。

「あぁ、ネット小説でしょ、カンベなんとかっていう人」
「そうそれ!」

 いつもは風景みたいに気にしない言葉だ。