ノート


「強がりなんかじゃない」
「本当は、誰かがいなきゃ寂しいくせに! 俺と同じなくせに!」

大声をあげて、殴りかかろうとしたが、勢いをつけすぎていたので、軽くかわすと彼の方が前へ倒れた。

こうは、なりたくないな。漠然とそう思う。

寂しいから誰でも良い、とりあえず友達になればいいと、そんな感じがした。本当にいないのだろう。

「俺は、ほとんど、アニメも、漫画も、小説も、アイドルのおっかけもしない。誰とも話が合わない。
お前と、盛り上がれそうなものなんか、ひとつもねぇよ」



 家に帰ってすぐ、部屋でノートを開いたけど、なんの感情もわかなかった。
涙だけが、ぼろぼろとこぼれた。
「こんな、もの」
強く握りしめて、引き裂いてやろうと思った。でも、意味もないと思ったし、過去を全部なくす必要もない気がして手を止める。

書き出せば楽になると言った先生を逆恨みしたくなった。
救われたことを思い出すのと同時に、勝手に楽しみにされたことへの苛立ちでぐしゃぐしゃだった。

あいつが台詞を読み上げ救いだと言ったとき、俺の心の中は真っ黒になったのだと思う。あれは戦いで、苦しみなんだ。俺が生きてきたっていう、そういう葛藤なんだ。

それをあんな笑顔で触れられて楽しそうな顔で台詞みたいに発しないでほしい。

いじめ自殺の手記を、
爆笑しながら読んでいるような、胸糞悪い気持ちが膨れ上がる。
 さらに無理矢理遠ざけて帰宅する帰り際で、あいつはあれを『楽しみにしてる』と言ったのだ。俺の苦しみを、楽しみにしているやつとなんか関わりたくはない。最低なやつだと思う。
蹴られた背中がしくしくと痛んだ。