明日はきっと、晴れ。



「あ、そういえばこれ。着てみて?」
水野くんから受け取ったお洋服はよくよく見るとメイド服。


近くに空き教室はないし
体育館横の更衣室は少し遠いので、
トイレで着替えることにした。

「みんなの目、汚しちゃうかも…」

鏡に映る自分を見て、少しだけ外に出るのが嫌になる。


「行くしかないよな……」
そう決意して思い切って教室に戻ってみると

再び教室中がしんと静まり返った。


いつの間にか隣に来ていた律くんが
「麗が可愛すぎるってことだよ」
と言ってはにかんだ。


その言葉を肯定するかのように、
クラスメイトたちが言葉を連ねる。


真っ黒な瞳に
真っ黒な髪

真っ白な肌に
薄桃色の頬

大きな瞳に
高くて綺麗な形の鼻。

細身の身体に纏われた制服はいつも清潔で
鎖骨ほどまで伸びた黒髪はストレートで艶が出ている。

立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花

まさにその言葉が似合う人。


ありがたいことに、
そんなような嬉しいことを言ってくれる方がいる。



「誰にも見せたくない」
隣にいる律くんが後ろからぎゅっと抱きしめてきて、耳元で囁いた。