月日が過ぎて、麗はもうすぐ退院できるまで回復した。
もうすぐ、というか明後日が退院の日。
退院する前に2人きりの時間が欲しいとみんなに頼み込んで、
今日は俺だけが病院に来た。
花瓶の水を入れ替えに行っている間に、
麗は布団に潜り込んでいた。
「れーい?」
布団の外から声をかけると
少しだけ頰を赤らめた顔をひょっこりと出す。
かわいい。
もうすぐそこまで出かけたその言葉をぐっと飲み込んで
「ね、外行こう?」
と布団を剥ぎ取った。
麗を車椅子に乗せて、ゆっくりと中庭に向かう。
いつも両親と会話していたと冷蝶が教えてくれた場所。
空はすっきりと晴れ渡り、
気持ちのいい日だ。
……12月だから寒いけど。
「麗、好きだよ」
ずっと伝えたかったこと。
いつからか、覚えていないけれど、
" 憧れ" や " 守りたい " という感情から、
" 傷つけたくない " という感情に代わっていた。
たくさん傷つけてしまったけれど、
もうこんな思いはさせない。
真っ直ぐに目を見て
「俺の、彼女になってください」
そう言えば、
照れを隠すためか、麗はえっと、と言いながら俯いてしまう。
それから
小さく頷いて、
「…わたしも、好きっ!」
太陽に負けないほど、眩しい笑顔で笑いかけてくれた。