今なら、起きてくれるかもしれない。
なぜかそんな気がして
「麗、、起きてくれ…」
みんなで話しかけながら彼女の手を握る。
微かに彼女の手に力が入った気がした。
そして___
「ん、、?」
「れいっ!」
彼女が約2ヶ月ぶりに目を覚ました。
………
「明日詳しく検査しますので安静にしていてくださいね」
「…ありがとう、お父さん、お母さん…」
ナースコールを押すとすぐに病室に入ってきた
白衣の男女2人がそう言って出て行こうとしたときに
麗がボソッと呟いた。
「麗…?」
心なしか握っている手の力が強くなった気がして
顔を覗き込むと今度は何かを決意した表情で言った。
「わたしの、お父さんと、お母さんでしょ?
なんか、そんな気がする。
わかるの」
2人は驚いて麗の元に駆け寄った。
「麗………」
看護師さんがそう呟いて、医者がその方を抱き寄せた。
「冷蝶が、教えてくれた。
冷蝶を助けてくれたんでしょ?
…今までのことは、
きっとすぐには受け入れられないから
許せないと思う。
だけど………
わたしを産んでくれてありがとう
お父さん、お母さん」
窓が閉め切られたはずの病室に、
あたたかい風が吹いていた。



