後ろを振り返ると、
一くんが黎明の仲間から、襲われていた。


それを翼の幹部が必死に、守っていた。


それぞれがぼろぼろになりながら、
必死に自らの信じるものを信じていた。



冷蝶としてか、麗としてかはわからないけれど、

気がつけばわたしは真ん中にいる一くんの元へ歩いていた。

わたしの姿を見た黎明のみんなは
息を飲んで、固まった。



「一くん、わたしはずっと仲間だと思ってるよ。
一くんにとっての仲間は誰?

一瞬でも黎明のメンバーを仲間だと思ったことがあるなら、

偽ってきたことを素直に謝らなければならないわ」


その言葉に、彼は深く頷いてその場で土下座をした。


「……やっぱりおかしいと思ってた」
黎明の総長らしき人が呟いたその一言は、
やがてそこにいたすべての人の共感を誘った。


総長同士が手を取り合って、賑やかになる。


その視界の端で、何かが動いた気がした。
そう思ったよりも早く、身体が動いた。



「よかった」
そう思った瞬間、パンッという発砲音と共に鈍い音が響いた。

咲良さんはさっきの蹴りで伸びきっていたから、
おそらく元施設長だろう。





『仲間だから守った。

信じたいから信じた』


わたしはそれに後悔することはないだろう。



「「れいっ!」」

律くん…みんな…そんな顔しないで?
世界が横になって、逆さまになって………

律くんが支えてくれるのかわかる。


「麗が………_______」



わたし、みんなと出会えて幸せだったよ。