「大丈夫よ、一くん」
自分でも何が大丈夫なのか全くわからないけれど、
涙を浮かべて俯く彼を見てられず、
気づけばそう言っていた。
『はじめ、ありがとう。
9月に組を使って攻め込んでくることがわかっただけでも大きな収穫よ。
お陰で計画が立てられるわ』
「そうだな。はじめ、ありがとう」
冷蝶と律くんがお礼を言うと一くんはわたしの隣にやってきた。
「麗さん、俺、麗さんのこと守るから。
だからずっと笑っててください」
顔を涙でぐしゃぐしゃにしてそう告げる彼を抱き寄せて、
わかったよ、と約束した。
安心したように微笑むみんなの顔を見ていると気が抜けて、
『無理させてごめんよ』
という冷蝶の声を最後に、わたしは暗闇に身を委ねた。