「急だけど明日からしばらくじいちゃんのとこで生活するから」

昼休み、ご飯を食べていると新がそう切り出した。


「昨日、家帰ったら病院から電話かかってきて、ばあちゃんが倒れたらしくて。

そんで誠也は知ってるだろうけど

最近ちょうどじいちゃんの畑がある辺りが
亜樹を襲ったらしき族の管轄内にはいったらしくて

気になることがあるんだよね」


新は申し訳なさそうに麗を見て、
それから俺を見た。

大丈夫だよ、と笑った麗の手を、そっと握る。


「それってもしかして奴が動いたってことか?」
「…おそらく、彼だと」

俺が尋ねると、誠也が制服のポケットから手帳を取り出して遠慮がちに答えた。

その一言でピンと緊張した空気が張り詰める。


彼、その1単語で麗の呼吸が荒くなる。

しんどそうに見つめる麗の背中に手を当てて落ち着かせる。


「俺がそばにいるから」
その言葉を最後に、麗は意識を手放した。