新しい施設長はいい人で、
わたしを普通の女の子と同じように扱ってくれた。


隔離されていた空間から
みんなと同じ生活スペースに移動して、

知り合い止まりだった彼らと仲良くなった。

学校にも通わせてくれて、本当によくしてくれた。

施設長はいつも笑顔で、わたしたちと楽しく遊んでくれた。


だけど、その平和で幸せな日常は長くは続かなかった。


わたしが11歳になる誕生日前夜。

トイレをしていると外でパンッと発砲音が響き、施設の仲間たちの叫び声が響いた。

怖くてそこから動けずにいると、すぐ近くで施設長と男の話し声が聞こえてきた。


「レイを渡せってんだよ」

男が声を荒げて、もう一度発砲した。


レイ、というのはおそらくわたし。

この施設にレイという名前の人間はわたししかいないから。


「レイを渡さないなら先にお前を殺す」

男がそう声を荒げた瞬間、
わたしはトイレのガラス戸を突き破って施設長を守るように抱きしめていた。

その後の記憶はほとんどないけど、
ふわふわとした感覚で目を覚ますとひかりんと校長がいたんだっけ。


それから2人とこの家で暮らすようになった。