さっきまでの男たちは跡形もなくすっかり消えていて、

校長からは「お疲れ」というメッセージが送られていた。
そこに公園にいることを伝えて静かに深呼吸した。

深夜の風に身を任せて
地に咲いている名前も知らない一輪の真っ白な花を眺めた。



「麗が壊れるかもしれない」
お昼に新と律から言われたその言葉がいまだに引っかかっている。


不安とか、恐怖とか、そういうのは全くない。
けど、心の中にある漠然とした感情で、埋め尽くされている。


しばらく公園のベンチで頭を冷やしているとひかりんがやってきて隣に座った。

「ほら、飲みな?」
大好物の温かいココアを差し出され両手で持って飲む。

「んふふ、おいしい」
そうお礼を言うと、ひかりんは優しく頭を撫でてくれた。

何も言わず、ただ撫でてくれた。


いつの間にか校長が隣に座っていて、
心が安らいでいた。

張り詰めていた緊張がほぐれると次第に睡魔が襲ってきて、

慌てて顔を上げると公園の時計が1時54分を指していた。


「ひかりん、帰ろ?」
ひかりんの手を握り直してもう片方の手で校長の手を握り、3人で家に帰った。