メンバーたちはわたしが床に座ると
安心したように走り込みを始めた。
夜ご飯を食べ始めるのは18時半と決まっていて、今の時刻は16時半。
もうそろそろキッチンで夜ご飯の用意でも始めようかな、
と思いながら立ち上がると
「れっいさーーーーん!」
と誰かが元気よく駆け寄ってきた。
目の前でキキーッ、と急ブレーキをかけるように止まったのは
今年から翼のメンバーになった朱里(アカリ)くん。
「今日はカレーを作ろうと思ってますっ!」
何も言っていないのに手を引かれてキッチンの方へ強制連行される羽目に。
ここには律くんや幹部が拾ってきた子が集まる。
幹部はみんな家族と仲がいいのだけど、
メンバーの中には家族との仲が最悪だったり、施設で育ったり
いわゆる訳あり?と呼ばれる子たちもいる。
キッチンに入ると1人の女の子が
腕組をしながら机に並べられた材料を見てう~ん、、とうなっていた。
「美琴~?久しぶり!」
「麗ちゃんっ!」
わたしが話しかけると抱き着いてきたその子は翼で唯一の女の子のメンバー。
美琴は高校3年生で、
身長はわたしより5cmほど背が高い。
いかにもお姉さんって感じがするのに、甘え上手。
わたしの大好きな友達。
女の子は以前トラブルがあったとかで、
立ち入り禁止になっているようだけど、
美琴だけは私が入る前からずっといる。
それほど大きな信頼があるらしい。



