何度も彼女の家に通って頭を下げ続けること
1か月。


12月、
彼女のご両親が全てを話してくれた。


「これからどうするか、君たちに任せる。
覚悟があるなら会ってきなさい」

その言葉と一緒に入院先を教えてくれた。


覚悟、と言われてドキッとした。


「仕事が忙しかった」

その一言で蔑ろにしてしまった彼女に、
もう一度信じてほしいと言えるのだろうか。


日に日に落ちて行った食欲は、
彼女の作るご飯を求めていて

身体は彼女の温もりを求めていて

心も、彼女を求めていて。


正直なところ、
僕はもう、限界を迎えていた。

これまで当たり前だった2人の日常が
急に君がいなくなったその日から崩れ落ちて、


いや、気が付かなかっただけで
急ではなかったのではないか?


限界を迎えていたのは、彼女の方だ。


何度も伝えた

「好き」



「大切にする」

それから

「守るから」


口先ばかりで行動では全く示せていなかった。



そんなことを考えるばかりで、
だけど、たどり着く答えはいつもひとつだった。





よし、会いに行こう。





1週間がだっただろうか。


初雪が降ったその日、勇気を出して彼女に会いに行くことにした。

教えてもらった病室に入ると、

ベッドの上から気持ちよさそうに窓の外を眺めていた君は、

こちらに気づくとニコッと笑いかけて

「はじめまして」

と挨拶をした。