----- side ... -----


かすかなすれ違い、よくある倦怠期

きっと、時間が経てば元通りになる。

お互いにそう信じて疑わなかった僕たちは

付き合う前に掲げた
- 辛いとき、苦しいときは話し合う -

という些細な、でも1番大切な
約束を置き去りにしていた。


付き合って3年目、共に24歳。

大学3年の冬に僕たちはお付き合いを始めた。


出会いは大学1年、サークル選びのとき。

完全に僕の一目惚れ。


最初はもちろん相手にされなかった。

何度もアタックして、想いを伝えて、
ようやく3年の冬、通算25回目で告白成功。


社会人になった4月から同棲も始めた。

同棲開始から2週間目にあったぼくの誕生日も

その2ヶ月後にあった君の誕生日も豪華にお祝いした。


だけど、


3ヶ月前、暑さもだんだん落ち着いてきた9月のこと。

僕たちの距離感がおかしくなったんだ。


何かを伝えようとして
何度も君がこちらの様子を伺っていたことも、

映画ですら涙ひとつ見せたことのない君が
1人で泣いていたことも、

全部知っていたのに、
僕は見て見ぬ振りをした。




話し合うという選択肢に、
僕がもう少し早く気づいていたら、
君は今も隣で笑っていてくれたかな?




12月、初雪が降ったその日
ベッドの上から気持ちよさそうに窓の外を眺めていた君は、

僕の顔を見て

「はじめまして」
と笑いかけた。