中には、バーテンと思われる男性とメイド服を着た女の子が二人でお喋りしている。
油断していたのか、二人共ボクの顔を見るとビクっとして、バーテンはすぐに奥に消えていった。

ボクは、なんか悪いことをした気持ちになった。

「どうぞ~~」メイド服の子がやる気なさそうに言った。

そこは、

「ご主人様お帰りなさいませだろ!!」

思わず激しく抗議、

   できるわけない。

「す、すいません」口癖を繰り返す。


一番近い席に案内され、リュックをおろして座った。

「チャージ料が1時間800円かかりますが、よろしいですか?」

そんなの初めて知った。でも、大した額じゃ無いし。「あ、ハイ。大丈夫です」

「メニューです。どうぞー」

ボクは薄っぺらいメニューを渡された。
それは、手書きで書かれたメニューだった。可愛いイラストが描かれてる。この店に来て初めて癒された。

「あ、スイマセン。ちょっと待ってください。今考えるので、考えているので」

メイドさんは、返事をせずに奥に消えていった。