【短編】また会える日まで、君の幸せを願う



9時58分、駅に到着。
改札を出て、待ち合わせ場所に足を運ぶ。

宏樹さんと、その隣には先週の日曜に見たお姉さん。

「いや流石にそれはねえだろ」
「あれれ、ひろきはそんなこと言える立場だったかしら?」
「っ、」
「じゃ、わたし行くから。よく考えておいて」

宏樹さんの様子を伺いながら距離を詰めていると、先ほどまで一緒に話していた女性がこちらを見る。完全に目が合っている状態で、その目から離せない。どこかで彼女を見たことがあるんだよな。どこだったかは思い出せないけれど、日曜日以外にも、きっとどこかで会っている気がする。


え、睨まれた…?

背筋が凍るかのようなその視線は一瞬、わたしに強い殺意を向けているようにも感じて、その圧に負けるかのように、力が抜けた。

その場で立っていられず、思わず座り込むと周囲がざわつき始める。
こちらに近づいてくる足音が、2つ。

「大丈夫ですか??ってあれ、
かほちゃん先輩じゃないですか!」
「あ、、ちぇりの彼氏くん…」

ひとつは少し近い所にいたちぇりの年下彼氏くんで、
捕まってください、と手を差し伸べてくれた。

「ありがとう、年下彼氏くん」
「かほちゃん先輩はちぇりの大事なお友達なんで当たり前っすよ!」
素直にその手を取り、立ち上がると満足したように笑った。
またね〜と手を振り合って、ちぇりの年下彼氏くんを見送る。


そして、もう一つの足音は、
「かほちゃんっ?」
駆け寄ってきてくれた宏樹さん。

「あ、宏樹さん!」
「大丈夫だった?」
「大丈夫ですよ!ちょっと立ちくらんだだけなので!」

軽く会話を交わして、近くのカフェに入る。
お昼も近かったのでお互いに飲み物とサンドイッチセットを頼んで席に着く。

「今朝、寝坊しちゃって朝ごはん食べ損ねちゃったんですよね〜笑」
「ちゃんと食べなきゃダメだよ?」
そんな会話をしながら、サンドイッチセットが届くのを待つ。

今日の宏樹さんも、一言で言うとおしゃれで、すごくかっこいい。わたしなんかが一緒にいていいのかな、そんな気分になるくらい。