【短編】また会える日まで、君の幸せを願う



話を聞けば数日前から腰をさすったり早寝したりなど、挙動不審な動きが多くて、
心配になって今日話を聞いてみれば
いつもは穏やかな妹さんが大きな音を立てて寝室に閉じこもったという。
耳をすませば、部屋からは泣き声が聞こえてきてどうしていいかわからずにわたしに電話した、らしい。

別にわたしじゃなくてもよかったのでは…?と思いながらドラッグストアの営業時間を検索する。
最寄りのドラッグストアは10時オープンか…

じゃあ11時に駅で待ち合わせで…
というかわたしがやることではないのかな、これ。
宏樹さんの彼女さんとか、そういう子にお願いすればいいんじゃ…?

「ん?俺彼女はいないよ?」
「はぇ?」
電話越しにきっぱり否定する宏樹さんの声に、また間抜けな声が出てしまった。

「あ、いや、かほちゃんが『宏樹さんの彼女さんとか、そういう子にお願いすればいいんじゃ…?』とか言うから…」

え、あれ?聞こえてた???心が読めるの?エスパー?!?!

「いやいや、エスパーでもなんでもないし、かほちゃんがっつり喋ってたよ?」
「え、嘘だ、、」

嘘だ、嘘だ、、そんなの嘘だ………
独り言、がっつり聞かれてた?!
うぅ、、恥ずかしい…

「ふはっ、慌ててるところもかわいい」
「うぅ、、からかわないでくださいっ!!」
「ごめんごめん笑」




「本当にありがとう!!じゃあ、また明日」
「はぁい、おやすみなさい」
「うん、おやすみ、かほちゃん」
無事に、明日の約束を取り付けて
そのあとはどちらからともなく始まった世間話に花を咲かせて、気がつけば2時間ほど経っていた。
21時半を少し過ぎたところで電話を切る。


久々に宏樹さんに会える喜びをこっそりと噛み締めながらお風呂に浸かり、疲れを癒す。

明日何着ようかな、でも会うだけだし気合い入り過ぎてたら引かれちゃうよね…
そういえば今の時期、ドラッグストアにカイロ売ってるのかな?
そんなことを考えながら。