【短編】また会える日まで、君の幸せを願う



月曜日、いつもの日常が始まる。

午前7時半、大学に向かうための準備を終え、スマホを見れば宏樹さんからのメッセージが届いていた。

【かほちゃん、おはよう】
【昨日はありがとね、ゆっくり眠れた?】

そんなあたたかいメッセージに、胸がキュンとした。

【おはようございます。
こちらこそありがとうございました】
【眠れましたよ!宏樹さんも大丈夫でしたか?】

そう返信して家を出た。


今日は2コマ目と4、5コマ目に授業が入っている日。
いつもはもう少し遅く起きて、お弁当を作ってから2コマ目にぎりぎり間に合うようにアパートを出るのだけど、
今日は大学の近くでランチしようと友達のちえりに誘われている。

男女問わず「ちぇり」って呼ばれていて、漫画とかドラマに出てくるようなムードメーカー。
ちぇりの周りにはいつも笑顔が絶えない。
わたしとちぇりの出会いは入学式。会場までの道に迷っていると助けてくれて話しているうちに仲良くなった。

学部は違うけれど、同じサークルに入って、より仲良くなって、1年の頃はよく全学部共通の科目を助け合っていた。
末っ子だというちぇりはお姉ちゃんのようにしっかりしていて、いつもわたしのお世話をしてくれる。
一応わたし長女なんだけどなぁ…



講義まで時間があるので、大学の図書館で勉強。就職のことを思うと、自分の武器になる資格は取れるうちに取っておきたくて、今年から定期的に図書館に通い始めた。

図書館では、思ってた以上にたくさんの人がパソコンを開いたり参考書と睨めっこしたりして作業している。
わたしは奇跡的に空いていた自習スペースの窓際の1番端っこの席に座って鞄から参考書を取り出した。

今勉強しているのはFPの資格。
上京して、バイトして、完全ではないけれど自分で生活をすることを経験して、お金の管理に興味出たんだよね。

まだ将来どこの業界がいいとか、何がしたいとか、全く想像できない。

小中学生の頃は、フラワーデザイナーとかブーケデザイナーに憧れた時期もあったけど、

でも自分の中で「これだ!」と確証できる何かがなくて、

中学生の頃に授業で描いた未来予想図の「高校を出て専門学校に行って、フラワー装飾技能士の資格を取る」という道からは外れた今の道を歩んでいる。



集中しているとあっという間に時間が過ぎ、講義の時間になる。

必修科目ではないものの、興味のある分野の授業を取れるだけ取ってみれば、毎日3〜5コマほど授業が入っているスケジュールに。

お陰でテスト期間は結構大変。
何度か通ったサークルで仲良くなった先輩方から過去問を頂いて、授業がかぶっている子たちと情報共有して乗り切っている。

両親が高い授業料を払って学ばせてくれることを思えば、それを最大限に活用することは全く苦じゃない。
新しい知識を学ぶことが楽しい。