【別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。

花は毎年必ず咲きます。】

かの有名な川端康成はそう言った。

何かひとつでも花の名前を覚えさせることで、その男(ひと)は、その花を見るたびにあなたのことを思い出す。


だから私は、彼と会う最後の日に
一輪のネリネの花を渡した。